本記事では、成長が見込まれるリユース業界の現状を捉えるために2025年3月期3Qまでの市場動向について、各企業の決算資料を参考にまとめました。リユース業界の銘柄選びの参考になれば幸いです。
2025年3月期3Q時点でのリユース業界の全体的な傾向
各社売上は増加しておりますが、高額品の価格相場下落により、営業利益が前年よりも減少している企業も見受けられました。その結果、リユース市場の株式相場にはマイナスのインパクトを与えている印象を受けました。
市場環境の変化(消費者動向、経済状況、円安・物価高の影響など)
需給面に関しては、物価高騰に伴う生活防衛対策としての需要や訪日外国人観光客によるインバウンド需要がありました。日本政府観光局の調査によると、2024年は訪日外国人観光客数が過去最多を更新しております。
気候面に関しては、2024年10月は残暑の影響で秋冬物衣料が苦戦していました。一方、2024年12月には冬らしい寒さになりました。
中古価格相場に関しては、2024年7月末に行われた日銀の利上げにより、2024年8月上旬以降、急激な為替変動が起こったことや中国経済の減速長期化が継続していることが影響し、高額品を中心に時計とバッグの相場が軟調に推移していました(参照:コメ兵ホールディングス決算説明資料)。
主要企業の業績・動向分析
ゲオホールディングス(2681)
連結売上高が3,161億円(-3.4%)、営業利益が98億円(-26.4%)、経常利益が109億円(-23.7%)、四半期純利益が64億円(-30.8%)と前年同期比で全て減収減益でした。
セグメント別で見ると、リユース系リユースは1403億円(12.5%)と増収、メディア系リユースは615億円(12.5%)と増収、新品は734億円(-30.1%)と減収、その他は408億円(-4.7%)と減収でした。
リユース系リユースでは、構成比が最も高い衣料・服飾雑貨が757億円(17.5%)と大きく伸長していました。
メディア系リユースは、スマホ・タブレットが332億円(28.9%)と大きく伸長していました。
新品は、半導体不足の解消により、新品ゲーム需要が一巡したことによる反動があったものの、新品トレカやPB商品が好調のようでした。
その他は、viviONのデジタルコンテンツが125億円(6.7%)と伸長していました。
店舗数は2024年12月時点で2179店舗(うち、直営店が2,031店舗)と2024年3月末に比べて84店舗純増しています。2025年3月期の出店計画によると、2025年第4四半期では45店舗純増する予定となっております。
ブックオフホールディングス(9278)
連結売上高が567億円(7.3%)、営業利益が14億円(41.5%)、経常利益が17億円(35.1%)、四半期純利益が9億円(29.4%)と前年同期に比べて全て増収増益でした。
セグメント別で見ると、国内ブックオフ事業は497億円(6.2%)と増収、プレミアムサービス事業は34億円(2.4%)と増収、海外事業は29億円(30.4%)と増収、その他事業は7億円(31%)と減収でした。
国内ブックオフ事業は、トレーディングカード・ホビーやアパレル、書籍や家電・携帯電話などが前年同期を上回ったようです。
プレミアムサービス事業は、新規出店費用や人員拡充のための費用が先行しているようです。
海外事業はアメリカのBOOKOFFとマレーシア・カザフスタンのJalan Jalan Japanの既存店の伸長と新店が寄与したようです。
店舗数は2024年11月末時点で846店舗と2024年6月末に比べて12店舗増加しています。うち、海外7店舗が海外への出店となっております。
トレジャー・ファクトリー(3093)
連結売上高が305億円(22.7%)、営業利益が29億円(20.5%)、経常利益が30億円(20%)、四半期純利益が19億円(22.3%)と前年同期比で売上、各利益全て過去最高を記録しました。
セグメント別で見ると、リユース事業は売上高290億円(22.4%)、セグメント利益44億円(22.3%)と増収増益、その他のレンタル事業は売上高11億円(27.4%)、セグメント利益0.17億円(-86%)と増収減益となりました。
リユース事業では、秋冬物、冬物家電、ブランド品や時計、アウトドアやスポーツ用品が好調のようです。
レンタル事業では、センター移転費の増加により販管費が20%増加となったため減益となったようです。
店舗数は2024年11月末で293店舗(2023年11月末から+24店舗)となっています。293店舗のうち海外店舗は、タイが4店舗、台湾が2店舗となっております。
ハードオフコーポレーション(2674)
連結売上高が248億円(12.5%)、営業利益が25億円(25%)、経常利益が26億円(23%)、四半期純利益が17億円(28.2%)と前年同期比で売上、各利益全て過去最高を記録しました。前期にオープンした直営店23店舗および当期にオープンした23店舗の寄与したようです。2025年3月期の通期予想の進捗率は四半期純利益で81.8%となっていたため、2025年2月6日の第三四半期決算発表時に2025年3月期の通期予想を上方修正しました。
セグメント別で見ると、ハードオフが84.8億円(15.8%)と2桁増収、オフハウスが77.3億円(6.1%)と増収、ホビーオフが23.9億円(27.4%)と2桁増収、モードオフが9億円(7.5%)と増収、ガレージオフが4.8億円(10.1%)と増収、ブックオフが23億円(1%)、海外が10.9億円(32.8%)と増収、FC事業が13.7億円(20.3%)と2桁増収、その他が0.2億円とほぼ横ばいと2桁増収となっている事業が多数ありました。
今後の成長戦略としては、2025年4月にグローバル事業部を新設する予定です。2024年12月末時点では、カンボジアに6店舗、台湾に5店舗、アメリカに5店舗、タイに3店舗を展開しています。2025年3月期の第三四半期の海外売上は前期比32.8%増の1,095百万円です。今後の出店数と売上の推移に注目していきたいです。
店舗数は2024年12月時点で1005店舗(2023年12月末から+45店舗)となっています。1005店舗のうち、リユース店舗448店舗、FC加盟店557店舗となっております。また、1005店舗のうち海外店舗は、ガンボジアが6店舗、台湾が5店舗、アメリカが5店舗、タイが3店舗となっております。
シュッピン(3179)
連結売上高が396億円(8.6%)、営業利益が36億円(3.1%)、経常利益が26億円(2.3%)、四半期純利益が15億円(-14.8%)と前年同期比で増収減益でした。決算短信の「(1)経営成績の状況」の説明によると、基幹システムの開発計画の変更によって、ソフトウエア資産(ソフトウエア仮勘定)の資産性を再検討した結果、減損損失として特別損失に約3.8億円を計上したようです。そのため、四半期純利益は15億円(-14.8%)と減益となっているようです。減損損失の影響を無くして四半期純利益を算出すると、約18.9億円(6.6%)と増益となります。
セグメント別で見ると、カメラ事業は売上高308億円(12.3%)、セグメント利益34.5億円(9.4%)と増収増益、時計事業は売上高77.5億円(-3.4%)、セグメント利益3.5億円(9.4%)と減収増益、筆記具事業は売上高3.4億円(10.5%)、セグメント利益0.5億円(24.7%)と増収増益、自転車事業は売上高6.1億円(-0.7%)、セグメント利益0.18億円(-47.1)と減収減益でした。
カメラ事業では、新規会員数や女性客の増加や市場の広がり、人気機種の後継機の発売等が売上増加に影響したようです。
時計事業では、高級時計の価格相場下落による利益減少の影響が一服したとことや円安により免税売上が増加したようです。
筆記具事業では、新品・中古がEC・店舗販売で好調に推移したようです。
自転車事業では、免税売上が減少しましたが、EC売上が好調のようです。利益面では大幅な減益となっておりますが、新規顧客獲得のためにモール販売の利用手数料が先行費用として発生しているようです。
まんだらけ(2652)
連結売上高が37.6億円(6.1%)、営業利益が3.2億円(-43.9%)、経常利益が3.1億円(-44.8%)、四半期純利益が1.4億円(-61.7%)と前年同期比で増収減益でした。
gamebizの記事によると、減益理由は新たに役員退職慰労金規程を制定したことにより、役員退職慰労引当金が1億8800万円増加したためだそうです。販管費に計上されている役員退職役員退職慰労引当金を営業利益に追加しても5.08億円(-11%)となるため、他にも原因がありそうです。2025年9月期第1四半期では、2024年11月に兵庫県神戸市で新店舗「まんだらけPUCK1」を開店したための新店費用や、12月中旬に「メルカリShop」に「MANDARAKE」をオープンしたための費用が営業利益を押し下げている原因となっていると考えられます。2025年9月期第2四半期では上記の一時的な費用は発生しないと考えられるので会社予想の進捗通りに進むと思われます。毎月月末に開示される月次情報から新店とメルカリShopの売上がどのくらい寄与しているのか確認していきたいです。
コメ兵ホールディングス(2780)
連結売上高が1,118億円(32.9%)、営業利益が50.8億円(-0.7%)、経常利益が49.7億円(-3.5%)、四半期純利益が37.8(2.9%)という結果でした。
セグメント別で見ると、ブランド・ファッション事業は売上高1071億円(33.7%)、セグメント利益45.7億円(-2%)と増収減益、、タイヤ・ホイール事業は売上高46.6億円(16.8%)、セグメント利益3.8億円(43.8%)と増収増益、不動産賃貸事業は売上高2.6億円(24.6%)、セグメント利益は0.87億円(36.2%)と増収増益でした。
ブランド・ファッション事業では、2024年8月上旬以降、急激な為替変動や中国経済の減速長期化などの影響が継続し、高額品を中心に時計とバッグの相場が不安定となっていました。そのような状況の中、在庫の流動化を図るために法人販売を強化したため小売比率が5%程度低下しました。その結果、売上総利益率が低下し、セグメント利益が減少したようです。
タイヤ・ホイール事業では、夏用・冬用タイヤの販売と自社企画ホイールの国内外販売が好調のようです。
店舗数は2025年3月期第3四半期累計(2024年12月時点)で47店舗(販売店4店舗、買取専門店36店舗、買取併設店7店舗)出店し、288店舗(販売店10店舗、買取専門店199店舗、買取併設販売店53店舗、海外5カ国26店舗)となっております。2028年には420店舗を目指しているため今後132店舗出店されることになります。
今後の成長戦略としては、2025年3月3日にJ.フロントリテイリングとと合弁会社「JFR&KOMEHYO PARTNERS」を設立する予定です。2025年7月に松坂屋名古屋と大丸東京店、2025年9月に大丸神戸店と大丸福岡天神店に買取専門店を出店予定です。約3年間で大丸松坂屋とパルコに約20店舗を展開する予定となっております。今後の出店数と買取金額の推移に注目していきたいです。(参照:日本経済新聞、J.フロントリテイリングIR)
投資家視点での考察
高級品相場が回復傾向とあるものの先行きに不安が残っていると感じました。高級品の売上構成比が大きい企業は2025年の通期見通しが怪しいと感じたため、コメ兵ホールディングスへの投資は今後の相場次第で検討すべきかと思いました。シュッピンへも影響はありますが、カメラ事業が大半で、カメラ事業の売上が2桁成長しているため、配当利回り4%程度の配当をもらいながら相場状況をウォッチしていくのが良いのでは思いました。
一方、総合リユース型であるゲオHDやトレジャーファクトリー、ハードオフコーポレーションはリユース事業の売上が2桁成長しているため、中長期的に配当をもらいながら保有するのが良いのでは思いました。
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